プールとゴーグルと洗眼

プールの季節です。学校医を担当している小学校の養護の先生から「プール後の洗眼はどうしたらいいか?」とご質問を頂きました。
以前は「プールの後は眼を洗う」が常識とされていましたが、近年はプールに限らず「不要な洗眼は害悪」とされています。実際眼科診療の現場でも洗眼をする事は稀になりました。生理食塩水を使いますので水道水よりはずっと優しいですが、それでもムチン等、眼表面の大切な保護物質まで失ってしまう為です。(勿論、異物や薬品が目に入ったときは早急な洗眼が大切です)

ではプールについてはどうかというと
「全員ゴーグル着用!プール後は洗眼しない!!」がやはり正解です。
ですが、ここで悩んじゃうのが学校現場では未だにゴーグル無しがメインという所です。枯葉落ち葉や虫の死骸、時には子供さんのお小水まで混入している水です。塩素が不十分なら問題ですし、強すぎるのも又こまりもの。こんな水の中でさんざん目を開けて泳いだ後なら、弱い水流で数秒すすぐ程度の洗眼であればやはりメリットがあるように思います。勿論強力な噴水洗浄は御法度です。
本来であれば、学校でもゴーグル着用を基本にしてもらえるのが一番です。水難事故対応のため水中で眼を開ける事が出来るのは達成目標である、というのには一理ありますが、其の段階をクリアした児童は基本ゴーグルをしてもらえると良いのにと常々思っています。
10年程前某市に勤務していた時には担当した学校の校長先生から「ゴーグルは絶対に認めません。華美ですから!」といわれ、しばしお話させて頂いた事があります。30過ぎの若造にあれこれ言われて気分を害されたのか、ちょっと険悪なムードになってしまいました。当時は「華美に走りやすい」というなら帽子や水着と同じく指定にすれば良い、と思っていました。
幸い最近ではアレルギー性結膜炎のあるような子をはじめ、希望する子には着用を認めてくれる学校が大半になっているようです。